ドッグマッサージで愛犬との仲を深めよう。「ドッグケアルーム*はなふぶき*」直伝のマッサージ5選!
お散歩やおやつ、オモチャ遊びなど、愛犬とのコミュニケーション方法はさまざま。“触れる”ことを通じて関係を深める「ドッグマッサージ」は、ワンちゃんにも飼い主にもメリットがいっぱいです。
茨城県南地域を拠点として活動する「ドッグケアルーム*はなふぶき*」のドッグマッサージセラピスト下野絵梨さんに、初心者でもできる5つの部位別ドッグマッサージを教えていただきました!
ドッグマッサージとは?
人間と同じように、ワンちゃんもコリや疲労を感じることがあります。
ワンちゃんの体を優しく触る「ドッグマッサージ」は、筋肉の緊張やコリを緩和するだけでなく、犬と人とのコミュニケーションを深めるツールです。
本格的なドッグマッサージは、専門的な資格を取得したセラピストが施術するものですが、飼い主自らがワンちゃんをケアしてあげることも可能。
そこで、ドッグマッサージセラピストの下野絵梨さんに、おうちでできる易しいマッサージ方法を教えていただきます!
ドッグマッサージセラピスト/下野絵梨(しもの・えり)さん
「ドッグケアルーム*はなふぶき*」代表。聴覚障害を持つドッグマッサージセラピスト。2018年よりドッグマッサージを学び始め、2020年7月に「ドッグケアルーム*はなふぶき*」としての活動をスタート。出張マッサージや、茨城県南地域のドッグイベント、ドッグランへの出店を通じ、ドッグマッサージの普及に努めている。
【保有資格】
・大阪ドッグサイエンス学院Dr.高嶺認定ドッグマッサージ師
・スウェーデン式ドッグマッサージセラピスト
・ペットセーバープログラム(ペット救急法)普及インストラクター
・犬の食養生パティシエ
・愛玩動物飼養管理士1級
「ワンちゃんは、飼い主さんに対して一番の安心感を抱いています。飼い主さんがワンちゃんを気持ちよくマッサージすることができたら、ワンちゃんは飼い主さんをもっと好きになり、お互いの信頼関係がさらに深まるでしょう。
日頃からワンちゃんに触れ、観察することで、体調の変化にも気付きやすくなります。ドッグマッサージを通して、ワンちゃんとのコミュニケーションをたっぷりとってみてくださいね!」(下野さん)
今日から試したい!部位別ドッグマッサージ5選
背中・腰・首・肩・お腹の5つのドッグマッサージのやり方やコツ、効果を紹介します。
■ドッグマッサージを行う上での注意点
以下に該当するワンちゃんや、ワンちゃんが嫌がっているときは、無理にドッグマッサージを行わないでください。不安がある場合はかかりつけの獣医師に相談しましょう。
・6カ月未満の子犬
・ケガや炎症など、何らかの症状があるとき
・食後1~2時間以内
※この記事で紹介するドッグマッサージは、ケガや病気を治すことを目的とした医療行為ではありません。あくまでも飼い主と犬のコミュニケーションを深める目的で行うものです。
■マッサージを始める前に…
急にマッサージを始めるとワンちゃんがびっくりしてしまいます。
まずは優しくなでながら「これからマッサージするよ」と声がけを。終わるときにも「これでマッサージは終わりだよ」と声をかけられたらGOOD!です。
やりすぎるのも良くありません。1回あたり10~15分にとどめ、ワンちゃんが飽きてきたり嫌がっていたりするときは、無理に続けないようにしましょう。
①背中のマッサージ
【触れる場所】
背骨の真横にある筋肉
【手順】
1.背骨の両サイドを上から下へなでる
2「の」の字を描くように親指の腹で背骨の真横をもむ
3.また背中をなでる
「四足歩行のワンちゃんは、お腹の重みを背中や腰の筋肉が支えています。背中全体の筋肉がこわばっているワンちゃんは意外と多いのです。背中をほぐすことで首や腰のコリへも良い影響が期待できますし、背中には内臓に関係するツボもたくさん。
『の』の字でマッサージするときは、ワンちゃんの皮膚を軽く持ちあげるくらいの優しい力で大丈夫です。人間のマッサージほど強くもむ必要はありません」
②腰のマッサージ
【触れる場所】
骨盤付近(背中の後方部)の筋肉
【手順】
1.腰全体をなでる
2.「の」の字を描くように腰を親指の腹でもむ
3.また腰全体をなでる
「年をとり筋力が低下すると、腰に力が入りやすくなり、腰痛が引き起こされることがあります。腰の筋肉は、後ろ足の動きとも関連しているので、ぜひともケアしてあげたいところ。隣接している背中のマッサージから続けて行うとスムーズですよ」
③首のマッサージ
【触れる場所】
頸椎(首の骨)の真横の筋肉
【手順】
1.首全体を毛並みに沿ってなでる
2.少しだけ圧をかけて、「の」の字を描くように親指の腹でもむ
3.また首全体をなでる
「首が硬いワンちゃんは非常に多いです。飼い主さんを見上げる動作で首に負担がかかるので、甘えん坊さんほど首が凝っているかもしれません。ワンちゃんは、頭と首を絶えず動かして体のバランスを取っています。首の動きが鈍ると体の他の部分に影響が出る可能性もあります。
背中や腰と同様、もむときは優しい力で。はじめは優しすぎるくらいでちょうどいいと思います」
④肩のマッサージ
【触れる場所】
肩(肩甲骨)周辺の筋肉
【手順】
1.肩甲骨の周辺をなでる
2.肩甲骨と首の間のくぼみに沿って指をすべらせるように柔らかく、「の」の字を描きながらマッサージ
3.また肩甲骨の周辺をなでる
「ワンちゃんには鎖骨がありません。肩甲骨と体の側面は、筋肉だけでつながっています。さらに体重の60%ほどが前脚にのっているため、肩に負担がかかりやすいのです。肩をほぐしてあげることで、首・背中・前脚にも良い影響が見込めます」
肩のマッサージでは、肩甲骨の位置を把握しておくことがポイントだと言います。
「ワンちゃんの肩甲骨は、首と前脚の中間地点にある、三角形の骨です。首と背中の付け根あたりを触ると硬い骨が見つかると思いますが、ここが肩甲骨の一角。この周辺は特に凝りやすいので、なでてあげるだけでもワンちゃんは喜びますよ」
⑤お腹のマッサージ
【触れる場所】
下腹部
【手順】
1.あおむけで抱っこし、片手で胸を抱きかかえる
2.手のひら全体を使い、お腹を時計回りに優しくなでる。圧力はかけず、肋骨を刺激しないように注意
3.マッサージが終わったら、声がけしながらワンちゃんをおろす
「お腹には、消化器系を整えるツボがあり、便秘やお腹の冷え対策にもなります。あおむけで触られることを犬が気持ち良いと覚えてくれると、病院やトリミングサロンでも見てもらいやすいですよ。あおむけ抱っこが難しければ、立たせた状態のままマッサージしても大丈夫です」
番外編:あずきカイロを使った「あったかマッサージ」
寒い時期は、ドッグマッサージに温灸を取り入れているという下野さん。自宅であったかマッサージをしたいときは、あずきカイロを使って温めてあげるのがおすすめだとか。
「電子レンジでチンしたあずきカイロを少しおき、人肌よりほんのり温かい程度まで冷ましてから使用してください。ワンちゃんの腰には『腰の百会(ひゃくえ)』という万能のツボがあります。腰を温めてあげると全身がポカポカしてきますよ」
あずきカイロの目安時間は5分です。
下野さんが使用しているのはハンドメイドのワンちゃん用あずきカイロですが、薬局などで市販されているものでもOKだそう。
寒さが苦手なワンちゃんは喜びそうですね!火傷に注意しながら、取り入れてみてください。
ドッグケアルーム*はなふぶき*とは?
マッサージを監修していただいた下野さんは普段、「ドッグケアルーム*はなふぶき*」として活動しています。
「ドッグマッサージを始めたのは、保護犬の譲渡会でおびえて固まっているワンちゃんに出会ったことがきっかけでした。世の中にはこんなに辛い思いをしてきたワンちゃんがいるのだと衝撃を受け、その子を私の手で安心させてあげたいと感じたんです。とはいえ、当時の私には何もできることがなく、犬を飼える状況でもありませんでした。
でも、仕事をしていてもその保護犬のことがずっと頭の中から離れなかったんです。金銭や物資の支援だけではなく私自身の手で何かをしてあげたいと思い、見つけたのがドッグマッサージ。会社を辞めてドッグマッサージのスクールに通い、1年間学んで資格を取って。2020年から『はなふぶき』として活動を始めました」
現在、県南のドッグイベントやドッグランなどに出店する活動と並行して、出張ドッグマッサージを行っている下野さん。今後は出張マッサージに力を入れていきたいと話します。
「ご自宅にうかがって施術する出張マッサージでは、たっぷり時間を取れるので、ワンちゃんをより尊重しながらマッサージができます。
イベントやドッグランでの出会いをきっかけとして、いろいろな人に『はなふぶき』のことを知ってもらい、出張マッサージもご利用していただけたらなと思っています」
今回下野さんに教えていただいたのは、マッサージの経験や知識がない飼い主でも取り入れやすい、易しいマッサージ方法です。
やっぱりプロの施術を受けさせてあげたい!という方は、下野さんに相談してみては。
元気なワンちゃんはもちろん、年をとって体の動きが悪くなった、歩くのが辛そう、いつも身体が緊張している、といったお悩みを抱えているワンちゃんにもおすすめですよ。
出張マッサージの料金・対応エリアなどの詳細や、イベント出店情報は以下からチェックできます。
まとめ
「ワンちゃんにとって最も安心できるのが飼い主さんの手です」と話してくれた下野さん。さっそく自宅で愛犬をマッサージしてみたところ「もっともっと♪」とおねだりされ、その表情がとってもかわいくて、こちらも幸せな気分になれました。
特に気持ち良さそうだったのが、肩のマッサージ。引っ張りグセの強い子なので、肩が凝っていたのかもしれません。愛犬との仲が深まるのはもちろん、体の状態もチェックできる一石二鳥のドッグマッサージ。年末年始のおうち時間でぜひチャレンジしてみてくださいね!
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