vol.01:㈱アヴァンツァーレ代表取締役 江田敏夫

vol.01:㈱アヴァンツァーレ代表取締役 江田敏夫

  • 2022年2月9日 
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生活の知恵

未来を見据えて新しいことにチャレンジ!

「楽しいことのために仕事をしよう!

常総市に昨年オープンしたドッグラン「ヒュッゲヴィレッジ」を運営する江田さんは、

運送業や女性専用のフィットネスジム「カーブス」の経営などを手掛ける事業家。

コロナ禍の中でも常に前を向き、歩みを止めない江田さんにお話を伺いました。

株式会社アヴァンツァーレ  代表取締役 江田敏夫さん

 

37年前、トラック1台からスタート

ー事業を始めたきっかけを教えてください。

江田:決められたレールの上でなく、自分で何かを始めてみたくて、24歳のときトラック1台を手に入れ、運送の仕事を始めたのがそもそもの始まりです。当時流行っていた菅原文太のトラック野郎に憧れて(笑)。世間はバブル真っ只中で仕事はいくらでもありました。

超多忙な毎日で、3年間、睡眠時間30分で夜中中走り回りましたね。ただトラックに乗っていれば、いくらでも稼げた時代でした。

ーその後、会社を立ち上げられました。

江田:自分がやっていたことは「雑用」だったと思いますが、どんな仕事も引き受けていたら、「あの人に任せたい」と言ってくれる人が増えていったんですね。次第にオファーが増え、トラックも増えていって一番あったときは70台くらいありました。

ただトラックに乗っていることが好きだという、一つのことをつきつめていったことが良かったんじゃないかな。好きなトラックに乗っていたら、いつの間にか運転手から経営者になっていた感じですかね。

ー経営者になってからは、どうでしたか。

江田:経営の「け」の字も分からなくて、私はただのトラック乗りで経営者ではないことを思い知らされました。内部管理というか、経営のことをまるで知らなかったせいで、忙しくて利益は出ているはずなのに、使途不明金が多くて会社はいつまでたっても赤字。

銀行に相談に行くと、「重箱の隅から隅まで知っているのが経営者なんだ。そんなことも知らないのか、甘えているんじゃない!」と怒られまして。ムッとしたけど、経理のこととか、必死に勉強して覚えました。

ー経営は順調でしたか。

江田:バブル崩壊も重なって、28歳で最初の倒産危機を迎えました。これは全部自分の責任でしたね。当時1台のトラックで800万も稼げた時代で、若くして成功しちゃって、お金がなまじっか入ってくるから、高級車やブランド物を買ったりして。今思えば、金を稼ぐ目的が自己満足のためでしかなかった。これでは会社は経営できないと、勉強になりました。

 

2度の倒産の危機を乗り越えて

ー倒産の危機を乗り越え、その後はいかがでしたか。

江田:もう一度、倒産の危機に直面しました。43歳のときのリーマンショックです。いろんな人に相談して、正直もうダメだと思って1~2週間前に社員に伝えました。でも当時50人ほどいた社員が「俺たちが、この会社を絶対につぶさない!」と言ってくれたんです。みんな、がむしゃらに働いてくれました。

最初の危機を乗り越えてから、「社員のためにできることをとことんやろう」とやってきた結果、社員たちに救われました。また、以前叱ってくれた銀行員も、「あの社長なら大丈夫だ」とサポートしてくれたという話も後から聞きました。

ー最初の失敗の経験が生きたのですね。

江田:自分にとって28歳の失敗の経験がすごく重くて、仕事をする一番の目的は、社員を豊かにさせることだと考えを変えました。「社員は宝」と気づかせてくれたのが28歳で、それからは自信をもって社員のためにやれることはすべてやってきた。それがリーマンショックにつながりましたね。

 

先を見据えて他業種にも参入

―運送業の他にもいろいろな業種を手掛けていらっしゃいます。

江田:運送業は稼げるのですが、すべて手形なので、現金収入が見込めるホテル業や飲食業も始めました。でも常に利益を追いかける体質は大変で、他に何かできることはないかと考えたときに会員ビジネスがいいんじゃないかと。

会員ビジネスは、ある程度損益を突破してしまえば、明日つぶれることはなく、ある程度見守っていられることに気づいたのが今から17年前ですね。そこで7人のオーナーで出資金を出し合って、アメリカのテキサスに行って、「カーブスインターナショナル」の本部から権利を買ってきました。

―「カーブス」を日本に広めたのが江田さんだったのですね。

江田:以前からあったフィットネスクラブは大きな施設が必要なため、多額の初期投資が必要で、気軽に始められるものではありません。そこで経営側もお客さんも、もっと手軽にできるものはないかと考えました。

また団塊の世代をターゲットにした健康ビジネスは、これから注目されるのではないかと思ったのですが、当時は「そんなの流行りっこない、やめとけ!」という声がほとんどで、100人に聞いて100人に反対されました。でもそう言われると余計にやる気が出るんですよね。最初は物件を借りにいっても追い返されたけど(笑)。

多くの人に受け入れられ、コロナ前までは順調に会員も増えました。時代の移り変わりが激しい中で、17年やってこられたことはビジネスとしては成功したと思っていますが、この先の人口減少も見込んで、また次のステップを考えないと、と思っています。

ー昨年はドッグランをオープンさせました。

江田:いろんな人がアウトドアを楽しめる場所ができたらいいなと思って、ドッグランにカフェレストラン、バーベキュー施設などを備えたアウトドア施設を造りました。ドッグランに関していえば、大型犬、中型犬、小型犬とスペースを分けたことで、安心して利用できると好評です。昨今のアウトドアブームもあり、常連客も多く、たくさんのお客さんに楽しんでもらっています。

お客さんの多くは東京などの県外からいらっしゃるので、ゆっくり田舎を満喫してもらえるよう、ドッグランで終わらずに、今後は宿泊とかキャンプとかの事業にも広げていけたらいいなと思っています。何もない環境なので、幻想的なコテージとか造りたいですね。

 

楽しいことを考えて前進あるのみ

ー新しい事業にチャレンジしていく原動力は何でしょう。

江田:常にわくわくしていたい、楽しいことをしていたいという思いでしょうか。立ち止まっていることが不安で、常に10年先、20年先を見て、次のビジネスを見つけていかないと落ち着かないんです。

失敗するかもしれないという不安ももちろんありますが、楽しいことも苦しいことも含めて、いろんなことを体験できるのが生きるということ。それを体験しなくては生きている意味がない。悲観的に考えていては時間がもったいない。それよりも楽しいことを考えて前に進んだ方が、人生楽しいんじゃないかな。

ー江田さんが考える経営者とは?

江田:企業としてどう生き残っていくかを考えるのが仕事だと思っています。仕事を形にして、形になったら現場に任せる。任せたら口は出さずに、考えさせる。一人一人にいろんな経験をさせてあげて、やる気がある人にはどんどんチャンスを与えてあげたい。そのためにも、次のビジネスを見つけるのが自分の仕事です。

そして企業の責任者は、どんなことがあっても経営者です。社員に文句を言う前に、その社員をつくっているのは経営者だということを忘れないでほしいですね。

ー社員と接するときに心がけていることは何ですか。

江田: 一人一人の内面を読み取ってあげることです。会話はもちろんですが、メールの方がその人の内面が出ると思って読んでいるので、メールを読むだけで3時間かかりますよ。

今は厳しいことを言うと、パワハラとかモラハラとか言われてしまう時代ですが、でもそれは言いたいことを言える信頼関係がないから。私はストレートにものを言いますが、ブレないし、裏表がないことも社員たちは知っているので、耳を傾けてくれます。

褒めたり、甘やかしたりすれば一時はうれしくてやる気になっても、やがて当たり前になります。当たり前になると、「ありがとう」がなくなり、甘えは文句になります。とはいえ人間関係に正解はないので、いつもこれでよかったかと日々反省です。

 

「まさか」に備えて逃げ道を用意する

ーコロナ禍で仕事は変りましたか?

江田:過去2回の危機よりも今回は一番こたえました。でもビジネスには上り坂もあれば下り坂もある。「まさか」もあるんです。その「まさか」がいつ来てもいいように、備えておくのが経営者です。

ビジネスで大事なのは、攻め方というより上手い逃げ方。攻めながらも逃げ道を用意しておくことです。逃げ道がないと心の余裕がなくなります。ただ、バブル崩壊やリーマンショックのときには、動くことで道を切り拓くことができたけれど、コロナ禍では動くことができない。それが一番つらいです。

海外事業も検討していたところだったので、今は動けない不安が一番大きい。それでもこの状況の中で何ができるかを考え、企業として乗り越えていくことが今の一番の課題です。

ーコロナ禍を経営者はどうやって乗り越えていけばよいのでしょうか。

江田:とにかく今の事業でしっかり数字をつくること。ワンチームになって組織をしっかり作り、自分が中心軸となって理念のもと、しっかり教育していくことが大事なのではないでしょうか。

愚痴や不満のない、みんなが楽しく仕事ができる環境をしっかり見直していく。その中で社員に喜ばれるような組織作りができたのなら、生き残っていけるのかなと。

それに、こらからはこの暮らしがスタンダードになっていくだろうから、この生活の中で何ができるかを考えていかなければなりません。

 

都内から1時間の地の利を生かして

 ー茨城の魅力的については、どのように感じていますか。

江田:茨城は東京にも近く、交通の立地が良いところです。宅地面積も日本一で、おいしい食べ物もたくさんある。そこそこ安定して暮らせるから、満足しちゃってブランド化してこなかったため、魅力度も低いのでしょう。でもコロナで郊外に移住する人も増え、今は茨城が活気づくチャンスなんじゃないかな。

ヒュッゲヴィレッジのお客さんも、県内よりも断然、東京、千葉、埼玉、神奈川のお客さんが多く、昨年のクリスマスイベントでは900人くらい集客しました。茨城が好きで、茨城を活気づけたい人はいっぱいいますよ。

 ー県南地域の活性化のために、何が必要でしょうか。

江田:東京から1時間圏内で、これだけの土地がある所はそうはない。その地の利を生かさない手はありません。

例えば市ごとに役割を分担して、守谷や取手には新興住宅地として人を呼んで、自然豊かな常総市は市全体をアウトドアフィールドにしてしまうとか。河川敷なども活用してアウトドア施設を充実させ、はとバスも誘致して田舎体験ツアーを組むなど、できることはいくらでもあります。

これから高齢化もあって農業ができなくなり、農地を活用してほしい人も増えるでしょう。行政だけを頼るのではなく、民間も協力して、やり方と情報を、人対人でどれだけつながっていけるかを考えていくと、いろんなことができて、いろんな可能性が広がっていくのではないかな。

私一人では何もできないけれど、いろんな人と協力しながら、地域を活性化していくことは可能です。ドッグランも初めは「こんな田舎に人が来るわけない」と地元の人に言われたけど、たくさん人が来てくれることに驚いて、今は応援してくれています。

ーこの地域で、具体的にイメージしていることはありますか。

江田:お金をとる公園を造りたいと思っています。アメリカでは危ない所にも柵を作らないけれど、日本は少しでも危険があると規制してしまう。コロナが流行り始めた頃、公園が黄色テープでふさがれたときに、行政はやっぱりこういうことをするんだと、とてもショックでした。

今は公園でキャッチボールができないとか大きな声が出せないとか、いろいろ気にしながら遊んでいて、子どもは寂しいんじゃないかな。それが民間なら「好きに遊んでいいよ」と言える。少しでもお金を払った方が、安心して遊ぶことができるでしょう。だからRVとかキャンピングカーとかと合わせて、好きに遊んでもらえるような公園を造りたいですね。

 

夢はみるものではなく、叶えるもの

ーいろいろなアイデアをこれまでも形にしてきました。成功のカギはどこにあるのでしょうか。

江田:ドリーム(叶える夢)を持たなければ叶えられません。夢はみるものではなく、叶えるものです。そのためにはバイタリティが必要。失敗は怖いですが、失敗を恐れていては何もできません。とりあえずやってみれば何とかなるもの。1歩目は出ても、2歩目は「馬鹿」にならないと出せない。でも2歩目を出すことが成功につながるのです。

私は「いいね」と言われるとやる気が失せる。「そんなのやめとけよ」とダメ出しされる方がやる気が出るし、成功するんです。

人は失敗から学びます。私も2回の失敗があったからこそ、もうあそこには戻りたくないという思いで頑張ってこられました。とりあえずチャレンジして変化を楽しみ、へこたれない強い気持ちを持つことです。

 

雑用にチャンスあり

ーAIが進化していく世の中で、これからのビジネスチャンスはどこにあると思いますか。

江田:「雑用にチャンスあり」と思っています。今、キャンピングカーのメンテナンスや改造なども手掛けていますが、丁寧な仕事と高い技術力が認められてオファーが増えています。できるだけお客さんの細かな要望に、高いレベルで応えることで信用がつく。困っている小さなこと(雑用)にも対応する、こうした信用が利益を生みます。

いくらAIが進化しても、人は義理人情、思いやり、助け合いの生き物です。世の中が進化しても、人の心は昭和戻りする。人と人との横のつながりを大切にすることで、安定した企業づくりができると思います。

ーこれからの社会を担う若い人たちに、何を伝えたいですか。

江田:「カーブス」の社内研修などでよく話しているのが、「未来をしっかり見据えよう」ということです。目標をもってビジョンを立て、レールを敷いて自分の人生をナビゲーションしていくことの大切さを話しています。

目標は逃げません。目標から逃げているのは自分自身なのです。そうならないためにも自分の強みを生かしていくこと。感謝の気持ちを忘れないこと。自己満足でなく、目の前の人を喜ばすために働くこと。

ときには厳しいことも言いますが、私はみんなに幸せになってほしい。嫌われてもいいから、伝えていかないとと思っています。そして「どんなときでも笑っていよう!」って言っています。笑顔はただだから(笑)

 

楽しいことのために仕事をしよう!

―最後に江田さんにとって仕事とは?

江田:「仕事は遊ぶためにやれ!」ですかね。食べるため、生きていくために仕事をするのでは楽しくないし、やる気も出ないですよね。楽しいことのため、遊びたいために仕事をした方が、断然モチベーションが上がります。

人生を楽しくするためには、わくわくしたり、ときめいたりすることが大事。一回きりの人生、どう楽しむかを考えて生きていく。そのためにこれからも新しいことにチャレンジしていきたいですね!

 

「社員は宝」と言い切る江田さんは、バイタリティあふれる社員思いの経営者。

常にポジティブに物事を考え、新しいことにチャレンジし、人生を楽しんでいる様子に、元気をもらいました。地域を元気にするために、今後ますますの活躍を期待しています!

企業情報———————————————

〇株式会社アヴァンツァーレ
・アウトドア施設/ヒュッゲビレッジ
Hygge Village -ヒュッゲヴィレッジ- | 大自然に囲まれた常総市のアウトドア・ドッグラン施設 (hygge-village.co.jp)

・女性フィットネス・カーブス
女性だけの30分フィットネス カーブス (curves.co.jp)

〇株式会社イイダ/運送事業(一般貨物自動車運送事業、建材機材、重量物運送事業)、
KYP:CS事業(特殊車両製造販売)
株式会社イイダ|茨城県での長距離から近場の現場輸送までお任せください|茨城県桜川市 (iidaii.com)
iida 株式会社イイダ | Facebook
iida | 株式会社イイダ(@iida_kyp_cs) • Instagram写真と動画
iida30th video – YouTube

 

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