つくばみらい市にある空き家をどうにかしたい!|2022年から空き家解体後の再建築が可能に
今まで再建築ができなかった市街化調整区域で再建築が可能に
2022年7月号の「広報つくばみらい」にて、つくばみらい市は茨城県内初となる「市街化調整区域」についての空き家解体後の再建築が可能となったことを案内しています。 この規制緩和によって、市街化調整区域にある空き家の再利用がしやすくなりました。
市街化調整区域と市街化区域
同じつくばみらい市であっても区域によって、「市街化調整区域」と「市街化区域」に分かれています。 市街化区域は、公共施設や交通機関などを整備していくなかで効率良く市街化していく区域のことです。
一方で市街化調整区域とは、田んぼの維持や公共の都市計画があって市街化を抑制している地域です。 市街化調整区域では、特定の条件を満たさない場合は、開発したり建物を建てたりすることができません。
これまでは、この市街化調整区域の空き家を手に入れて解体しても建物を建てられないので、更地のまま保有し続けるか、空き家のまま管理し続けるかという状態だったわけです。 このような区域の空き家は相続しても対処に困ってしまいます。 今回の規制緩和によって、一定の要件を満たした「老朽空家」であれば、解体後、更地の状態でも再建築が可能になりました。 市街化調整区域にある空き家を所持している方にとっては土地活用の選択肢が増えることになります。
つくばみらい市の市街化調整区域はどこ?
つくばみらい市の市街化調整区域については、以下のマップで、「市街化区域」(薄赤の部分およびグレーの部分)を除いた部分、つまりマップの色のついていない部分および、指定対象集落(ブルーの部分)と今回指定対象集落から除外された部分(ピンクの部分)を加えた地域を指します。
※指定対象集落とは、本来建物を建てられない市街化調整区域の中であっても、古くからある集落などを維持・保全するために指定された用途の範囲内であれば建物を建てることができるようにしたものです。
つくばみらい市の区域指定【伊奈地区全体図】
つくばみらい市の区域指定【谷和原地区全体図】
市街化調整区域は、平成16年1月に谷和原村(現つくばみらい市谷和原地区)の一部、平成22年8月に伊奈町(現つくばみらい市伊奈地区)の一部が指定されていましたが、平成24年の土砂災害特別警戒区域または土砂災害警戒区域の再指定によって縮小されています。
このように防災上の理由から一部指定対象集落から除外された地域についても、避難路の確保などの要件を満たせば、建物を建てることができます。 詳しくは、つくばみらい市の開発指導課までお問い合せください。
老朽空家に認定されると再建築が可能に!
市街化調整区域で空き家解体と再建築が可能にはなりましたが、すべての空き家が対象というわけではありません。 再建築できるのは「老朽空屋」に認定された空き家のみです。
この老朽空屋に認定された場合、解体後の更地の状態で、集落の出身者要件などの制約を受けずに建物の再建築ができるようになりました。 これで解体をためらっていた空き家所有者が、空き家を解体して更地の状態で売却することが可能になったのです。 管理が行き届いておらず、近隣の住民に悪影響を与えているような空き家の再利用を促す新制度と言えるでしょう。
固定資産税の軽減
つくばみらい市では、空き家の維持や解体についてサポートする施策に積極的に取り組んでいます。 そのひとつが「老朽空家を解体した翌年から3年間は固定資産税を減額する」というものです。 具体的には取り壊した前の水準まで固定資産税を減額できます。 もちろん老朽空家の認定を受けていることが前提ですので、認定を受ける前に解体することのないよう注意してください。
解体費用の補助制度
もうひとつは、「解体費用の補助金制度」です。 これはそのまま放置しておくのは地域の安全上・衛生上で不適切であると認められた「特定空家等」と、住むためには設備が不良過ぎて住めない状態である「不良住宅」が対象となっています。 認定は建築士が現地調査を行い、1~2カ月で判定されます。補助金交付の申請日まで1年間以上使用されていないことも条件です。
解体費用の1/2または上限30万円の補助金が交付されます。 ただし、予算に限りがあり、令和4年4月25日から申し込みを受付していますが、予算がなくなり次第終了となります。 申し込みを検討されている場合は、「つくばみらい市開発指導課空家対策室」へ空き状況などを確認してみましょう。
老朽空家に認定されるための要件
老朽空家に認定されるためにはいくつかの条件を満たす必要があります。あくまでも災害リスクの低い地域に限定され、茨城県開発審査会に付議する上で判断されます。 また概ね10戸以上の住宅が線引日前から存在している集落であるという条件もあります。 再建築の基準としては、最低敷地面積は300㎡で、予定される建築物の高さの上限は10mまでです。
- 注意! 解体する前に相談しましょう このような制度があることを知らずに解体してしまうと、基準を満たしていたとしても認定は受けられません。 解体する前に必ず「つくばみらい市役所開発指導課」に相談するようにしてください。
もし認定されない場合の選択肢
もし市街化調整区域の空き家で、老朽空家認定されない場合は、解体したとしても建物は建てられません。ですから対応策は変わってきます。
- 従来通りリフォームして賃貸&古家付き売却 ひとつはその空き家の改修工事を行うなどしてリフォームし、仲介業者を介して賃貸として利用する、または古屋付きで売却するという選択です。 ただし、借り手や買い手が見つかるまでは管理し続ける必要があります。
- 更地にして駐車場、家庭菜園 もうひとつは解体して更地にしてしまうという選択です。 建物は建てられませんが、、駐車場として利用したり、家庭菜園をする場所として利用したりすることが可能です。
売る? 貸す? 空き家を更地にした場合のメリット・デメリット
空き家を手に入れた場合、「空き家をそのまま売却する」「空き家を賃貸として利用する」「空き家を解体して更地にしてしまってから売却する」という対処法が考えられます。 建物があまりにも老朽化しているのであれば、そのままの状態では買い手がつかないので、更地にしなければならないというケースもあるでしょう。
空き家を更地にした場合のメリットとデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
メリット
- 空き家の維持費や管理の手間がかからない。
- 古屋付物件よりも買い手がつきやすくなる。
- 空き家の老朽化によって起こる事故やトラブルなどを防ぐことができる。
デメリット
- 建物がないため、固定資産税1/6・都市計画税1/3という軽減措置が適用されなくなり、支払う税金の額が大きくなる。
- 一般的な目安として50坪あたり150万円ほどの解体費用がかかる。
空き家のまま保有するにしても、解体して更地にするにしても、一定のコストがかかりますので、先のことを考えて対処法を選択するのがいいでしょう。 ただし、解体せずに売却または賃貸として利用したいという場合は、リフォームしてから買い手や借り手を探すという方法もあります。
つくばみらい市で空き家をリフォームするときに使える支援金
特定空家等、または不良住宅の解体について補助金を受け取れるつくばみらい市の支援制度をご紹介しましたが、実はリフォームをする場合でも、つくばみらい市では補助金を支給しています。 条件としては「空き家バンク」に登録する必要があり、補助を受けようとしている年度の2月末までに工事を完了させなければなりません。
空き家バンクとは、つくばみらい市が空き家を有効活用するため平成28年に計画を策定し、立ち上げた制度です。 登録を希望する際には、申し込み用紙に詳細を記入し、谷和原庁舎1階開発指導課空家対策室に提出します。 空き家バンクに登録すると、公益社団法人茨城県宅地建物取引業協会に契約交渉の媒介を依頼することができるようになります。
ただし、申請したからといって必ず補助金が交付されるとは限りません。 あくまでも予算の範囲内となっていますから、希望する場合はなるべく早く申請するようにしましょう。
空き家バンクに登録した物件所有者に対し、家財処分費を補助
こちらは空き家バンクに物件を登録した物件所有者が対象です。家財処分費の1/2を補助してくれます。ただし上限は10万円です。
空き家バンク登録物件を購入した方または借主に対し、リフォーム費を補助
こちらは空き家バンクに登録して物件を購入する方、または借主が対象となります。リフォームにかかった改修工事費用の1/2を補助してくれます。上限は50万円です。
つくばみらい市の空き家ニーズと賃貸・売却価格相場
都内までおおよそ40分という距離にあるつくばみらい市は、都内で働きつつも、自然の溢れるなかでのびのび子育てをしたいという世代に人気があります。 待機児童問題についても、令和3年12月時点は、0歳から5歳のすべての年齢で保育所に空きがあり、トータルで合計359人の受付が可能になっています。 このように保育園の入所状況も良好であることから、つくばみらい市は子育て世代急増の注目エリアなのです。
ですから、まず空き家を賃貸として子育て世代に提供し、気に入ってもらえたらそのまま売却するという方法も効果的です。 空き家へのニーズが比較的高い地域であることは間違いないでしょう。
つくばみらい市の地価については、地域によって大きな差がありますので、主なエリアの地価をまとめました。
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(2022年公示地価より)
つくばみらい市の2022年の公示地価は、1坪あたり16万6,303円と、近隣の守谷市と比べてかなり手頃感があり、子育て世代に手が届きやすい価格帯となっています。 つくばエクスプレス線みらい平駅周辺エリアは前年比プラス1.28%と大きく上昇しており、1坪27万1,790円とかなり資産価値が高く、近年の需要の高まりを反映していると思われます。
常総鉄道常総線の乗り入れ駅である新守谷駅周辺は1坪20万1,763円(ただしこの価格にはつくばみらい市外の地点も含む)、同じく沿線の小絹駅周辺は1坪14万2,231円となっています。
みらい平駅はつくばエクスプレス線守谷駅までひと駅、区間快速の停車駅でもあり、都心まで45分と交通アクセスも良好です。 また、駅前に大型スーパーやドラッグストア、百円ショップなどを備えたショッピングモールがあり、日常の買い物にも困らない生活に便利な地域です。 場所にもよりますが、つくばみらい市の土地は、全体的に子育て世代にニーズの高い土地と言えるでしょう。
まとめ
子育て世代が注目している茨城県つくばみらい市。 相続などによってこの地域の空き家を手に入れたのであれば、市街化区域なのか、市街化調整区域なのかをしっかり確認し、解体費用の補助や家財処分の補助などを最大限利用して、若い世代に有効活用してもらうのがいいのではないでしょうか。
空き家のまま維持したり、更地のまま保有したりするのはコストがかかりもったいないので、対処法を検討しましょう。
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