vol.15:織物作家 kissa elää vapaa 店主 田中 カナ子

vol.15:織物作家 kissa elää vapaa 店主 田中 カナ子

  • 2023年4月26日 
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ここ数年は「手芸ブーム」と言われていますね。お家時間が増えて、手芸にハマった方も多いのではないでしょうか。

手芸の中でも、魅力的だけどちょっぴり敷居の高い「機織り」。今回は、守谷市に機織りができるアトリエとカフェkissa elää vapaaキッサ エラー ヴァパー)”を昨年9月にオープンされた、織物作家の田中カナ子さんにお話を伺いました。

織物作家への道

田中カナ子さんの機織りとの出会いは?

元々手芸が大好きで色んなものを手作りしていて、機織りにもずっと挑戦したいと思っていました。

東京の代々木上原に住んでいた15年ほど前、子どもたちの手が離れてきた頃に「そろそろ自分もやりたいことをやろう」と思って吉祥寺へ機織り体験に行ったのが、機織りを始めたきっかけです。その教室で、自由で間違いのない織りを習い、作品を作る楽しさを知りました。

機織りの魅力は?

機織りは、体に無理がかからず、おしゃべりしながらできます。糸は、綿、麻、ウールといった天然素材で、触れると心地よく。手動なので、電気も必要ない。強い力がなくても作れるし、機織りの音は静かで騒音もない。糸は柔らかく、何も怖さがない。細かい作業がなく目への負担も少ない。良いことづくしです。小さいお子さんから年配の方まで誰でもできるのが、機織りの魅力です。

織物作家への道・アトリエ elää vapaa 開設

以前は、フリーランスで映画企画宣伝の仕事をしていました。その時見たのが、フィンランドを舞台にした映画「かもめ食堂」。

映画に出てくる主人公のセリフ、「やりたくないことは、やらないだけなんです」という言葉に感銘を受けて。そうだ、これからは機織りを仕事にしていこう、と心に決めたのです。

本格的に機織りを仕事にしたのですが、当時の家には織り機を置くスペースがなかった。思い切って織り機を4台購入して、アトリエを開設することに。

店名は造語で、想いを込めてelää(エラー)「生きる」、vapaa(ヴァパー)「自由」という意味のフィンランド語からつけました。

アトリエ開設半年後には、鬼子母神の手創り市に出店。その後は、手創り市で知り合った仲間と作品展を開くなど継続的にイベント出店するようになり、本格的に織物作家として活動するようになりました。

自分の中から、織りたい作りたい気持ちがどんどん溢れてくるので、たくさんの人に作品が届けば良いなと思いを込めて、織っています。

自然豊かな守谷市へ

40年ほど暮らした代々木上原からは、事情で離れることに。日々の暮らしの中で、衣・食・住の大切さをしみじみと感じていたので、2010年に自然豊かな茨城県守谷市に転居を決めました。

守谷市では、自宅アトリエで機織り教室を開設。お茶を入れたり、食事を作ったりといった日々の生活を大切にしながら機織りを楽しむ毎日でした。

2022年にアトリエとカフェを開業したのは、どうしてですか?

コロナ禍でイベントが全て中止になり、生活がガラリと変わってしまった。それが転機になりました。

今の世の中は、人との距離感が難しいと感じています。もっとラフにコミュニケーションを取れたら良いのにって。

どんなに仲が良い友達でも、約束なしに家に遊びに行くのは難しいですよね。でもお店なら、気が向いた時に寄ってもらうことができる。

老若男女、誰でも、地域の人がフラッと遊びに来れるような場所にしたいと思っています。アトリエとカフェは木曜日を除き毎日オープンして、いつでも来てもらえるようにしています。

自宅アトリエを飛び出したのには、別の理由もあります。

私もそうですが、自宅ではつい家事が気になって、リラックスできない(笑)。そんな方にも、用事を忘れてのんびりできる場所を作りたかったんです。

自宅アトリエでは、お昼をはさんで機織りされる方はお弁当持参でした。当時から、カフェスタイルにしてランチを提供したいな、という構想はあって。アトリエとカフェを開業すると決めて、食品衛生関係の資格をとったり、キッチンの設備を整えてカフェの営業許可をとったりと頑張りました。

赤い扉の可愛いお店

どうして守谷にお店を開いたのですか?

自宅が近所で、ここを通るたびに「平屋が並んでいて可愛いな」と思っていたんです。きっと大家さんが近くにお住まいだろうと思って、最初に声をかけてみた近所の方がまさに大家さんでした!

お話していると、大家さんが以前自宅アトリエに機織り体験に来られたことがある方だとわかって。そんなご縁もあり、こちらでオープンすることができました。

物語に登場しそうな、北欧を思わせる可愛いお店ですね。

DIYで改築しました。どうしても素人ではできない、コンクリート打ちなどは業者さんにお願いしましたが、ほとんどを自力でやりました!私が四苦八苦しているのを見かねて、友人たちも手伝ってくれました。

古い材木もたくさん出ましたが、無駄にしたくなかったので、板は建物の外側を鎧ばりに、角材は廊下の床材にと工夫してリユースしました。

赤い扉と流木のドアハンドルが印象的です。

扉は赤、と決めていたわけではなかったんです。壁をグレーに塗り扉の色を考えていたら、パッと心の中に赤色がひらめいて。ホームセンターで私のイメージとピッタリの赤色を見つけ、これもDIYで塗りました。

ホームセンターにあるドアノブは金属製ばかり。金属だと、触れると冷たいでしょう?あたたかみのあるドアにしたかったので、流木でドアハンドルを作りました。

機織り体験について、教えてください。

機織り体験では、ストールやマフラーが作れます。織り機には、たて糸を張った状態で準備しています。たくさんの糸の中から好きな色のよこ糸を選んで、織り始めます。あまり考えすぎず、直感で選ぶと良いですよ。

不思議なんですが、皆さん自分の好きな糸で織っているうちに、ビックリするくらいご本人に似合うものが織り上がるんです。

体験に何度も参加して「もっと自分で織りたい」と思った方には、月会員制度もあります。月に何回でも参加できるし、たて糸の張り方からお教えするので、好きなサイズの作品を織ることができます。バッグを作るためにそのサイズの布を織る、といったこともできますよ。

他の手芸関係のイベントも開催されていますね。

ブローチやバッグなどの作品も展示していると、お客さんから自分でも作ってみたい!という声が上がったりするんです。

このフックドラグという技法を使ったクッションが、可愛いと好評です。クッションは大きいので、限られた教室の時間内で完成させるのは難しいのですが、フックドラグの技法ができれば、ご自身で作れるので。ふわもこブローチを作る体験会も開催しました。

ちょっとしたヒントで皆さんの創作が広がっていきます。これからも色んな手法の織りや染めなど、たくさんの体験を提供していきたいです。

地域の皆さんへメッセージをお願いします。

kissa elää vapaaは、誰でも気軽に来たい時に来れて、織りたい時に織れる場所です。ゆっくりしてもらえるように、お茶もポットで提供しています。ぜひ、自由にのんびりした時間を過ごしてくださいね。

織物作家田中カナ子さんの、洗練された居心地の良い空間。そこで過ごす時間は、機織りに挑戦する人にも、のんびりしにきた人にも、誰にとってもきっと豊かな時間になることでしょう。kissa elää vapaa、ぜひ訪れてみてはいかがでしょう。

kissa elää vapaa(キッサ エラー ヴァパー) 機織りのアトリエとカフェ

所在地  : 〒302-0109 茨城県守谷市本町4281-1(Map

TEL   : 070-9040-1218

営業時間 : 10:00〜18:00

定休日  : 木曜日

Email   : kissaelaavapaa@gmail.com

Instagram : https://www.instagram.com/elaavapaa/

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シンヴィング編集部

1994年創刊の地域情報紙シンヴィング。 もっと『守谷』『取手』『つくばみらい』を合言葉に茨城県南地域の情報をお届けします。

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