vol.10:日本料理「ねぎしや」代表取締役 兼 料理長 根岸拓也
約100年にわたり、つくばみらい市で営業を続けている「ねぎしや」。いつも賑わっている地元で評判のお店です。今回は、日本料理店「四代目ねぎしや」の代表取締役 兼 料理長の根岸拓也さんに、「ねぎしや」の歩みについてお話を伺いました。
つくばみらいで地元に親しまれる日本料理店「ねぎしや」
「ねぎしや」は、開店当初から日本料理店だったのですか?
曽祖父、祖父の代は鮮魚店でした。父の代になって、お店で宴会ができるようなスタイルになりました。私がこの店を継ぐ時に、新たに日本料理店「四代目ねぎしや」として舵を切ったんです。
永年継続されてきたモットーはありますか?
鮮魚店から日本料理店へと変化を遂げてきたわけですが、お客さまへの思いは変わりません。代々継承してきたお店のモットーは、リーズナブルな価格で美味しいものを提供すること、時代が変わっても地元に愛されるお店になることです。
何歳くらいの時、お店を継ぐことを意識しましたか?
私はここつくばみらい市で生まれ育ってきたので、小さい頃からお店を継ぐことを決めていました。決意は固く、小学校の卒業文集にもそのことを書いたんですよ。両親は、商売を永年続けることの大変さを知っているので、初めは反対しましたが、今は応援してくれています。
お店を継ぐ前は、何をされていたんですか?
私は20代の始めは守谷市の和食店で、その後30歳までは、食の発信地・東京の懐石料理店で料理の修行をしてきました。都内のお店は、「懐石料理」と言われてみなさんがイメージするような、格調の高いお店でした。新しいことが学べましたし、その店でもっと修行を続けたい気持ちも、もちろんありました。
けれど約20年前、つくばみらい市の道路の拡張工事で、「ねぎしや」の店舗を建て替える必要性が生じたんです。そのタイミングで、実家を継ぐ決意をしました。建て替えに伴い、日本料理店「四代目ねぎしや」として、新装オープンすることに決めました。
お店の方向性はどうやって決めましたか?
「四代目ねぎしや」の方向性は、代々のお店のモットーにならいました。私は懐石料理で腕を磨いてきましたが、つくばみらいという地域が求めているお店は何だろうかと考え、「地域に求められる親しみやすい日本料理店」を方針に決めました。
今、目指しているのは、プレミアムな大衆割烹。「日本料理」というと、どうしても堅苦しく敷居の高いイメージがありますが、それを打ち破り、誰でも気軽に入れるお店を目指しています。お席も、椅子席や掘り炬燵形式で、リラックスしてご利用いただけます。
お店の運営で、これまでに苦労されたことはありますか。
一番苦労したのは、懐石料理店でやってきたことが、通用しなかったこと。私の作る料理と、お客さまの求められるものにズレがあって、葛藤したこともあります。
新しいことを自分の店でもやりたいけれど、お客さまに「これは一体、何?」と思われてしまっては仕方がない。料理に凝りすぎると、逆に思いが伝わらなくなったりするものです。自分が修行で培ってきたことを活かしながら、地域の求める味を提供したい。そのバランスが難しいですね。
料理一つ一つにこだわりがありますので、盛り付けは勿論、色使いも三色四色と食材を使って、美しく見えるように努力しています。オーソドックスな料理でありながら、他とは違う料理を目指しています。
「ねぎしや」と言えば「豚の角煮」とお聞きしますが、看板商品となったルーツはありますか?
開店当時、誰もが知っている料理を三品メニューに加えることにしました。懐石料理店では煮物や鍋物を担当する「煮方」の修行が長かったこともあり、うち二品を煮物にすることにしました。
当時、近所にはランチで和食を提供するお店がなかったこともあり、たくさんのお客さまにご利用いただいて、気がつくと「豚の角煮」が「ねぎしや」一番の人気商品になっていました。特に宣伝せずお客さまの口コミより看板商品にしていただいたことには、感謝の言葉しかございません。
ただ、自分としては「さばの味噌煮」の方が自信があったんですけどね(笑)。
三品目の「ぎんだらの西京焼き」と合わせて「こだわり三品」としてご好評をいただいております。
外食産業自体が大変だった時期もあるかと思います。
確かに一時期は、大きな宴会などはほとんどなくなってしまいました。大変でしたが、よかったこともあるんです。テイクアウトが一般的になったことで、これまで「ねぎしや」に来られたことのない方にも、この店の味を知ってもらうことができました。おかげさまで、テイクアウトだけでなくご来店いただく新しいお客さまが増えました。
どんな時に一番のやりがいを感じますか?
以前は宴会の利用が多かったのですが、「ねぎしや」が知られるようになるにつれ、会食をする方が増えてきました。
会食で料理をおまかせにしてもらえるときが、一番の腕のふるいどころです。その会にどんな料理が適しているか考えるために、何の集まりか、参加メンバーの構成など、できるだけ詳しく聞き取ります。どんな風にその会が進行していくかイメージして、献立を立てていくんですよ。そのため、予約は電話のみで受け付けるようにしています。
お客さまへの思いを聞かせてください。
「ねぎしや」に来られたお客さまに満足してもらいたい、という強い気持ちがあります。今、私は料理長として腕をふるっていますが、人と話すのが大好きなので、本当はお客さまと直接お話したい気持ちでいっぱいです。
おかげさまでお店が混雑することがありますし、そんな時はお客さまの不満をゼロにするのは難しいことも。そういう場合も、「ねぎしや」に嫌なイメージを持って帰ってほしくないので、必ずその場でリカバリーします。お詫びにお席まで伺ってお話しし、別のサービスをするなどさせて頂いて、必ず笑顔で帰ってもらえるように努力しています。
この地域で何年もお店を営業しているので、祖父の代からのお客さまもいるんですよ。そう言った方にも愛され続けたいです。そして、新しいお客さまにも愛されたい。昔ながらの良い点を継承しつつ時代に合わせたサービスをすることで、その二つを両立し、アットホームな雰囲気で皆さまに笑顔になってもらいたいです。
「ねぎしや」運営の情熱を語る根岸さん。ご自身は常に料理の研究を続け、注目度の高い都内のお店には、忙しい中でも必ず足を運ぶとのこと。そして得た新しいエッセンスを「ねぎしや」の料理に取り入れることで、お店の魅力が増すのですね。友達と、家族と、大人数の集まりで。色々なシーンで、ぜひ訪れたいお店です。
日本料理 ねぎしや
所在地 :〒300-2422 茨城県つくばみらい市古川533-1(Map)
電話・FAX番号 :0297-52-2183
定休日 :毎週火曜日
営業時間:【昼の部】11時30分~14時00分(ラストオーダー 13時30分) ※月曜日はお休みとなります。
【夜の部】17時00分~22時00分 ※月曜日は前日までの完全予約で営業。
HP :https://www.negisiya.com/
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