朗読グループ・かたくり代表 大内 仁子さん
情報を、音声にかえて
目を閉じてみて欲しい。聞こえてくる声、聞こえてくる音。
光のない時の中で、
あなたはどんなことを感じるだろう。
日本には現在、30万人以上の視覚障がい者がいる。
そして彼らのために、情報を音声に換えて伝える活動が行われている。
それが、「音訳」である。
伝えるということ
もうじき、小さな春が顔を出す。ちょうどその頃に満開になるのが、筑波山にも群生する薄紫色のかたくりの花。つくばみらい市にある『朗読ボランティアグループ・かたくり』は、その可憐な花の様に、人々に「声の花」を届け続けている。
代表を務める大内さんは、今から4年前に『かたくり』に参加。
「自分自身話し方に関して苦手意識があり、またマスターするのは難しいと言われる標準語にもチャレンジしてみたい、朗読って、どのように読むものなのか知りたい、ボランティアを通して学ぶことが出来たら…。そんな思いがあって、朗読ボランティアの募集に応募しました。」
1990年に設立された『かたくり』には、現在30歳代から70歳代までの11名が所属している。広報つくばみらい・社協だより・議会だよりの音訳を中心として、目の不自由な方を対象に、活動を行う。
「音訳や朗読は、その対象者を具体的に思い浮かべて読むことが基本だと学びました。利用者の方を想定して読み、聞き手となってテープを確認してみると、漠然と読んだ時に比べて伝わり方が全く違うことに気づきます。」
また録音を行う際には、ほんの小さな音にも気を配らなくてはならない。録音作業は、話す人と機械操作する人が交替しながら2人1組で行うが、一回の広報誌の音訳を完了するまでは、録音だけでも丸2日を要する。
たくさんの感謝
「人間は情報の8割を、視覚に頼っているといわれています。利用者の方から中途失明の経緯を伺った時、それは想像を絶する世界でした。私たちは、見えない世界を想像することしかできません。でもだからこそ利用者の方と会って話すことで、晴眼であることの有難さを日々痛感し、ひとりよがりにならない音訳を心がけたいと思うのです。下読みに時間をかける、発行日から10日以内に届けるということもそのひとつです。」
『かたくり』では、昨年から年に2回利用者との交流会を行っている。交流会を設けたおかげで、自分達がより聞き手の立場に立つということが出来るようになったと大内さんは言う。
「利用者の方々の笑顔や会話を通して、朗読以前に気づかされること、学ぶことが多く、人生を豊かにするたくさんの発見をいただいているという事に感謝ですし、『かたくり』メンバーの方々はじめ、活動を通して出会うことのできたみなさんに感謝しております。そして、つくばみらい市社会福祉協議会やつくばみらい市ほか、活動を支えてくださっているみなさんのご協力あっての『かたくり』だと実感しています。」
出来上がった音訳テープは、かたくりのメンバーの手で利用者のもとへと1本1本届けられる。かたくりの花が満開になる季節には、一体どんな声が届けられるのだろうか。
大内 仁子 Jinko Oouchi
2006年に、『朗読グループ・かたくり』に参加
広報つくばみらい・社協だより・議会だよりなどの音訳を中心に活動を行う。
現在、会の代表を務める。
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