vol.07: 乳幼児教室「じょんこの家」主宰 川上佐知子
赤ちゃんは可愛いけど、おしゃべりできないし思っていることがわからないから大変ー。そんなイメージはないですか?
実は、おしゃべりできるようになる前にも、親子で意思疎通できる方法があるんです。それが「ベビーサイン」。生後半年以降の、一人でお座りできるくらいの月齢から1歳半くらいまでのお子さんが対象です。
今回は、つくばみらい市でベビーサイン教室を中心に乳幼児教室「じょんこの家」を主宰している川上佐知子さんにお話を伺いました。
ベビーサインで、親子の心がつながる
−まず、教室名の「じょんこ」とはどういう意味ですか?
ここ、つくばみらい市は主人の地元です。主人が小さい頃、祖父母からいつも「じょんこだの〜!」と言われていたそう。「じょんこ」とは、地元の方言で「いいこ」の意味。あったかい響きですよね。
教室は、主人の祖父母の住まいだった日本家屋。自然に囲まれ、四季を感じることができます。
部屋は畳敷きで、まさに「おじいちゃんおばあちゃんの家」といった雰囲気。畳の部屋は転んでも安全ですし、赤ちゃんの運動発達に良いんですよ。
−ベビーサインとは、何ですか?
ベビーサインとは、まだおしゃべりができない赤ちゃんと手話やジェスチャーなどを使ってお話する育児法。口より手指の動きが発達する方が早いので、上手に話せなくても意思疎通できるんですよ。
−川上さんは、なぜベビーサイン教室を始めたのですか?
私は大学生の頃、初めて「ベビーサイン」の存在を知りました。それからは、自分の子が生まれたら「ベビーサインでお話ししたい!」とずっと思っていたんです。
結婚して子どもが生まれて、自分でベビーサインをやろうと思ってテキストも入手しました。でも、ひとりでテキストを読んでいるだけでは、なかなか覚えられなくて。当時、つくば市にあったベビーサイン教室に通って、とても頼り甲斐のある先生に出会いました。
私は子どもが4人いるのですが、同じ先生の元でベビーサインを続けているうちに、自分も講師になりたい、という憧れが湧いてきました。
私は、要領の良い方でもないし、ベビーサインでうまくいかなかったこともある。でも、そういう挫折の経験があるからこそ伝えられるものがあるんじゃないか、と思うようになって。
つくばみらい市は子育て世代が多いので、ここで地域貢献したい、ベビーサインのメリットをたくさんの人に伝えたい、と思ったのも理由の一つです。
ベビーサインは、赤ちゃんの習い事の中でも、赤ちゃん自身が習得できるのが良いところ。生徒さんは、ベビーサインを習いたい!と、遠方から探して来てくれる方や、「じょんこの家」の看板を見て来てくれた近所の方など、様々です。
−ベビーサインの魅力は、どんなところですか?
おしゃべりする前の子にも、ちゃんと伝えたい気持ちがある、ということが親にわかることですね。
例えば、お子さんが自分でうまく靴を履けなくて、イライラしている時。親が履かせようとして、余計に怒らせちゃうようなこと、ありますよね。でも、ベビーサインが使えると、靴下は自分で履きたい、靴はママに履かせてもらいたい、なんていう風に、子どもの気持ちがわかったりして。
こうして意思疎通できることで、お子さんの気持ちは落ち着くし、親は子育てに自信がついてくるんですよ。
−ベビーサイン、難しくないですか?
ベビーサインは、日本手話やアメリカ手話、ジェスチャーでできています。一つの言葉に対応するサインは複数あって、その中から、自分で使いたいベビーサインを選べばいい。
私は、例えば保育園に行くことが決まっているお子さんには、先生がすぐわかるようなベビーサインをおすすめすることもあります。でも、覚えやすい、やりやすい、気に入ったものを選んでもらえばいいんですよ。
また、テキストに載っていないものでも、お教室で質問されたらその場でみんなで考えて作ったり。堅苦しい決まりはなく、自由なんですよ。
意外に思うかもしれませんが、多くのお子さんが早く使えるようになるベビーサインに、「電気(電灯)」があります。大人とは目線が違うんですね。
赤ちゃんとお店に買い物に行って、親子で「電気眩しいね」とか、「おうちの電気と違うね」とか、ベビーサインで親子の会話ができたりして、素敵ですよね。
−覚えるコツはありますか?
ベビーサインを習い始めてから、お子さんがベビーサインをするまでに、何ヶ月もかかってしまうと、親も気持ちが疲れてしまいますよね。
だから「じょんこの家」では、小さな子が興味を持ちそうなベビーサインをまず最初にお伝えしています。私の手の動きを見てもらうと、覚えやすいですよ。
ベビーサインは、手が動かせれば使ってもらえるので、発語の難しいような障害のあるお子さんにも、ぜひ挑戦してもらいたいです。
−ベビーサインのメリットは何ですか?
ベビーサインで、赤ちゃんと意思疎通ができるようになって、私自身「こんなに小さい子なのに『意志』を持っているんだ!」と驚きを感じました。
ベビーサインではその場に無いものの話もできますし、感情も表現できる。
意思疎通ができることで、子どもは気分が落ち着き、精神的にも成長していきます。心が繋がることで、良好な親子関係の基本が作られていくんですね。
2歳くらいで発語が増えればベビーサインは減っていき、いずれは卒業するもの。でも、親子の結びつきというメリットを考えると、ぜひ、皆さんにやってもらいたいと感じています。
赤ちゃんの感覚を発達させる、ぐちゃぐちゃ遊び
−今は、「ぐちゃぐちゃ遊び」の教室も開催されているそうですね。
ベビーサイン教室で子育ての相談も受けるようになって、自分自身ももっと知りたくなり、赤ちゃんの発達について勉強しました。
赤ちゃんは生まれてから、大きくなって歩き出していくように、どんどん成長していきます。その中で、色々な経験を積んでいきます。
子ども自身が、自分でいろんなことをやってみたいと思うこと、そして実際にやってみることが、とても大事。私は、制限なく子ども自身がやりたいことを見つけ挑戦できる場所を作りたい、と思ったんです。
特に「ぐちゃぐちゃ遊び」は、子どもの様々な感覚に働きかけます。
絵の具や粉を使って、その感触を楽しんだり、部屋中に貼りめぐらした大きな模造紙に、体やローラーなどを使って自由にペイントしたり、粉で粘土遊びのように遊んだり。この教室では、作品を作るのではなく、その過程を楽しむんです。
「ぐちゃぐちゃ遊び」では、まずは親が思いっきり楽しんでほしい。そして、その姿を子どもに見せることで子どもは安心して遊ぶことができ、親子で心から楽しめるようになりますよ。
−赤ちゃんを子育て中の方に、メッセージをお願いします。
子育ては、頑張るのではなく、ぜひ楽しんでほしいです。予約制ですが、月曜は無料開放しているので、ぜひ「じょんこの家」に遊びに来てください。
「じょんこの家」のベビーサインで、ぜひ育児の楽しみを知ってもらいたい。そして、「ぐちゃぐちゃ遊び」で、もっと赤ちゃんの頃からたくさん全身を動かして、色々な感覚をバランスよく発達させ、自分がやりたいことをやれる子が増えるといいな、と思っています。
「先生」というよりは、「優しいお姉さん」という雰囲気の川上さん。筆者の子どもたちはもう大きいのですが、川上さんの親しみやすさに、思わず子どもが赤ちゃんだった頃の悩みを相談してしまいました。そんな過去の悩みにも、川上さんは親身になって耳を傾けてくれて、ご自身の体験を交えてアドバイスを頂きました。こうやって気持ちを受け止めてもらえると、子育ての肩の荷が軽くなりますよね。
赤ちゃんと遊びに行くもよし、ベビーサインで親子の絆を深めるもよし。赤ちゃんを子育て中の皆さん、ぜひ、「じょんこの家」で楽しむ育児のヒントを味わってみてはいかがでしょうか。
所在地 : 〒300-2353 茨城県つくばみらい市小張 川上農場内 MAP
電話番号 : 080-1085-9307
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